束縛
大好きな人がいる。
何よりも大切な
大好きな恋人が。
ずっと、一生、一緒にいたいと思う。
手放したくない 人。
でも
ふと、思うこと。
俺がアイツを縛ってるんじゃ・・って
アイツが俺と一緒にいるのは、
愛じゃなくて 逃げられないだけじゃないか
・・って―――
だから、俺は
アイツを 俺から
開放しないといけない―――
「なあ、真紀」
「・・・何?」
「終わりにしないか?俺たち」
「(・・!)・・・一応理由、聞いていい?」
「理由、ねえ・・」
やるなら、徹底的に。
ちゃんと、アイツが俺から離れられるように。
本心じゃなくても・・。
「別に、遊びに飽きただけだよ」
「・・・遊び」
「ああ、遊び。何?本気で俺がお前と付き合ってるとでも思ってた?」
「・・・別に。」
「だよな〜。俺がお前なんかに本気になるわけないじゃん?」
自分で言ってて 自分で傷ついた。
嘘に決まってる、こんなの。
本当は、ずっと・・って。
でも、アイツの反応は。
やっぱり、な。
俺のことなんて大して執着してないだろうな、って。
分かってたけど。でも。
やっぱ、悲しい。
「じゃあな」
「ええ」
「もう会うことなんて、ないだろうけど」
「そうね、じゃあ」
「・・ああ」
あの人が、店を出て行く。
吃驚した。
いきなり振られたから。
でも、それより吃驚したのは・・
『遊びに飽きただけだよ』
・・遊び
『本気で俺がお前と付き合ってるとでも思ってた?』
――思ってたよ。
ずっと。
付き合ってる間、ずっと。
でも
『俺がお前なんかに本気になるわけ無いじゃん?』
きっと、心のどこかで分かってた。
だって、前から覚悟してた。
振られることを。
そしてその時、私は。
取り乱すことなく、別れるんだろうなぁ・・・って。
・・・その通りだったね。
でもね、
心は、大泣きしてる。
行かないで、って
置いてかないで、って
泣き叫んでる。
俺が店を出ていても、アイツは追いかけてこない。
まぁ、当然だろう。
アイツは俺のことなんて、
どうでもいいのだから。
なぁ、真紀。
本当はあの時、言いたかった。
ねぇ、
本当はあの時、言ってほしかった。
「嘘だよ」・・・って
一度も言えなかったけど、
大好きだよ。
あれから、もう2年。
恋人は、居ない。
アイツじゃなきゃ、ダメだから。
・・・やっぱり、別れて正解だ。
縛ってしまう前に手放せた。
あれ?
無意識のうちに来てしまった。
アイツの家。
いや、
もう住んでないかもしれない。
そうに決まってる。
外見がこんなに、ボロボロで汚い。
アイツは綺麗好きだった。
空き家・・か。
でも、少し。
ほんの少しだけ。
期待してしまう。
・・・見るだけなら。
ガチャリ
「 え ? 」
何で
どうして
どう し て
「 真紀・・・?」
どうして、お前が。
どうして
こんな姿で
此処にいるんだ?
ナンデ、ココニ?
「あ、さ ひ・・・?」
「・・・真紀 」
夢を、見たんだ。
あの後、壊れた私を
旭が迎えに来てくれる 夢 。
戻ってきてくれたの? って。
一緒に居て・・・?
「あ、さひ・・。旭・・・?」
「ねぇ、私のこと 好き?」
「!?」
吃驚、した。
アイツの口から、そんな言葉が聞けるなんて。
夢かと、思った。
「好きだよ」
「ア、イシテ・・ル?」
「ああ」
「愛してる」
「ねぇ、一緒に居て?」
「もう 離さないで?」
「独りに、しないで」
此処に居てもいいのなら
一緒に居てもいいのなら
縛っても いいのなら
もう、離さない
ずっと、二人で・・
「何処にも、行かないで」
「行かないよ」
「い、て・・?」
「わかってる。」
「ねぇ、好きよ?」
「・・・好きだよ。」
「愛してる」
「・・私、も・・・」
もう、離さない。
君は、壊れてしまってた。
俺と離れている間に。
嬉しかった。
真紀が、俺に依存していることが。
俺と別れたから、壊れたことが。
俺が真紀を、縛っていることが。
狂っているのかもしれない。
でも、
それで君と居られるのなら・・・
+++++++++++++++++++++++
芦益サンへ、PC復活祝いです。
シリアスって難しいですね。
なんか途中から訳分からんです。
こんなんですが、貰ってやって下さい。