大好きなんて言葉、いらなかったの
ただ傍にいて欲しかった。
生涯唯一だと誓った親友が、死んだ。
道路に飛び出した小学生の女の子を庇って、車に轢かれたと聞かされた。
アイツらしい。
子供を庇うなんて、自分はしないだろうから。
お通夜にも葬式にも行った。
それでも、実感が沸かなかった。
死んだって事実は分かっても、もう二度と会えないなんて、
信じたくなかった。
ねえ、もう会えないの?
一緒に遊べないの?
喋れないの?
どうして隣にいないの?
喧嘩したままなのに。
謝ろうと、思ってたのに。
ねぇ、
この負けず嫌いで短気で、天邪鬼な私が
謝ろうと思ってんのに、
なんで謝らせてくれないの?
アンタが居なきゃ、私、一人ぼっちなんだよ?
「ばーか」
何、勝手に死んじゃってんのさ。
将来、小学校の教師になるんだって、言ってたじゃん。
これじゃ、無理じゃん。
大学まで、決めてたのに。
ほんと、馬鹿じゃん。
ああ、でもさ。
これじゃ、私も馬鹿だね。
だってこれから死ぬんだもん。
「ばいばい。行ってきます」
嘘。
「これから会いにいきます」
本当。
死に場所ぐらい、選ばせてね。
とある海の近くの小さな墓地にある、とある墓の横で。
両親には行ってきますをした。
行ってきます、さようなら、また会いましょうね。
ていうか、私が会いに行くんだけどね。