梅雨



「暇っ」

「雨だからな。」


外は雨。
土砂降りではないが、決して小雨でもない、雨。

そんな中で運動部が外で活動できる筈もなく。

ここ一週間 自主練習しかしていない陽太は、いい加減暇になっていた。


「何で一週間も雨続きなんだよっ」

「知らないよ。梅雨だからでしょ。」

「雨月!お前のせいだろ!!」

「それって名前が『雨』だから?」

「そーだ!」

「・・・陽太の『太陽パワー』が落ちたんじゃないの?」

「名前(漢字)を逆に読むなァっっ!」

「じゃあ名前ネタを使うな。」

「ぐぅ・・・。」


陽太は口で雨月に勝てない。

それは2人が4年前に出会ったときから変わらず。

反発しあっているからこそ、友人として長く付き合っていられる。

陽太が暴れて雨月がそれを無理矢理止める。

そんな日常。


「早く止まないかなー・・・」

「そう?別にいいじゃん。偶になら、さ。」

「でも一週間も続くとなー・・・。」

「それはまあ・・・ね。」


何だかんだで、雨月も好きで部活に入っているわけだから、

一週間もまともに部活ができないとなると寂しいものがある。


「部活が再開したら・・・大会に向けて?」

「おう!俺たちは今年が最後だからな!!」

「・・・そだね。」

「んん〜?何々?雨月は俺と別れちゃうのが寂しいのか〜??」

「いや別に。

「え、即答?ちょ、酷くね?」

「酷くないよ。」

「えー・・・・・」

「でも・・・部活が終わるのは寂しい、かな」

「!」


雨月の意外な言葉に、陽太は驚いた。

物事に執着するような性格だとは思っていなかったからだ。


「ふーん・・・。なあ、雨月って志望校決まってるんだよな?」

「え、あー、うん。陽太もさっさと決めれば?」

「ん、たった今決まった。」

「は?」

「俺、雨月と同じ高校行くから!」

「はァ?」

「で、高校でもお前と最強コンビ組むから!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「っし!これで高校でも退屈しなくて済むなっ!!」

「はぁ・・・・・・・・・・・・。」


なんだか勝手に決められてしまったことだが、雨月も嫌ではなかった。

それは雨月が陽太のことを、それなりに信頼しているからだ。


「さっ、自主練続けっか!」


(てか、コイツ高校受かるのか?志望校、偏差値60くらいあるけど・・・・・)



外には雨が降り続き、まだ止みそうにはなかった。